可動式間仕切りは、必要に応じて空間を仕切ったり開放したりできる可動型の壁システムです。
ただし、可動式間仕切りは7種類あるため、用途にあった種類を選ばなければ、仕切り壁の効果を最大限に発揮できません。
この記事では、「可動式間仕切り」の基本的な仕組みから、代表的な7つの種類、設置するメリット・デメリット、具体的な利用シーンまで、わかりやすく解説します。
なお、どの可動式間仕切りを選べばよいかお悩みでしたら、ぜひ株式会社TOKOにご相談ください。豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、設置場所に最適な種類をご提案いたします。
可動式間仕切り壁とは?
可動式間仕切りは、必要に応じて空間を仕切ったり開放したりできる可動型の壁システムです。
天井や床面に設置したレールを用いて、パネルをスライド・折りたたみ・収納できる仕組みになっています。
また、固定式のパーテーションとは異なり、設置後の空間構成を柔軟に変更できます。
そのため、会議室、病院の診察室、公共施設の多目的スペースなど幅広い現場に対応可能なのが特徴です。
タイプによって防音性や格納性、設置のしやすさや施工規模などが異なるため、目的に応じた選定が重要です。
可動式間仕切り壁の主な7つの種類
可動式間仕切りには以下の7種類あり、それぞれ特徴や適した用途が異なります。
- 折戸タイプ
- 引戸タイプ
- 折戸+引戸複合タイプ
- 移動収納+開き戸タイプ
- スライディングウォール
- 収納式間仕切り(キャスター付)
- アコーディオンカーテン
それぞれの特徴を理解し、空間の目的や使い方に合ったものを選びましょう。
折戸タイプ
折戸タイプは、パネルを「くの字」に折りたたんで開閉する方式です。
コンパクトに格納できるため、広い開口部を確保できます。
また、袖壁が不要で、どのパネルからでも出入り可能な設計もあり、可変性に優れています。
引戸と比較すると、開放時に空間を最大限に活用できるのがメリットです。しかし、防音性能は限定的なため、静音性が求められる空間にはあまりおすすめできません。
なお、商業施設が折戸の導入を検討している方は、以下の記事をご参照ください。
引戸タイプ
引戸(ひきど)タイプの可動式間仕切りは、パネルを左右にスライドさせて開閉する方式です。
襖(ふすま)や障子(しょうじ)のように、壁に沿ってパネルが移動するため、操作が簡単で、スムーズに出入りできるのが特徴です。
開閉時にパネルが手前に出てくることがないため、間仕切りの前後にスペースを取らず、空間を広く見せられます。
また、床面にレールを設置しない「ノンレール仕様」の製品もあり、つまずきのリスクを軽減できます。
さらに、「アウトセット納まり」と呼ばれる、既存の壁の外側にレールを取り付ける方法であれば、リフォーム時などにも比較的簡単に設置可能です。
ただし、折戸タイプと同様に、構造的に高い防音性は期待できないため、遮音性が重要な空間での使用には注意しましょう。
折戸+引戸複合タイプ
折戸と引戸の複合タイプの可動式間仕切りは、折戸のコンパクトな格納性と引戸の開閉しやすさを融合した方式です。
格納時は折戸方式でパネルを畳み込むことで、開放感を確保できます。出入りは引戸方式により、導線の確保が容易です。
また、デザイン性が高く、オフィス空間や応接室などに適しています。
引戸部には取手が付属しており、頻繁な出入りにも対応可能ですが、防音性能は単独の引戸・折戸と同様なため注意が必要です。
移動収納+開き戸タイプ
複数のパネルを上部のレールに吊り下げ、スライドさせて壁際にまとめて収納する構造が一般的です。
パネル自体はフラットなものが多く、間仕切りとして使用している際には、固定壁のようなスッキリとした印象を与えます。
また、床面にレールを設けない場合が多いため、間仕切りを開放した際には床面がフラットになり、つまずきにくく見た目も美しいメリットもあります。
製品によっては、収納棚としての機能を兼ね備えたタイプもあり、二重構造にすることで一定の遮音効果が期待できるものもあります。
子ども部屋の間仕切りや、オフィスの会議室、執務スペースの柔軟なレイアウト変更など、幅広い用途におすすめのタイプです。
スライディングウォール
スライディングウォールは、重量感のあるパネルを天井に設置されたレールから吊り下げ、左右にスライドさせて壁際に収納するタイプの可動式間仕切りです。
一つの大きな部屋を必要に応じて複数の部屋に分割したり、逆に一体化させたりと、柔軟な空間運用が可能になります。
パネルの素材や構造によっては、高い遮音性能を持つ製品もあります。
会議室やイベントホール、学校の講堂や研修室など、防音性が求められる広い空間や、多目的な利用が想定される場所で活躍します。
ただし、パネルの重量があるため、設置には天井構造の補強や、場合によっては一部解体工事が必要になる場合があります。
収納式間仕切り(キャスター付)
収納式間仕切りは、キャスター付きの収納棚やパネルを間仕切りとして活用できるタイプです。移動が容易で、空間を手軽に変更できるのがメリットです。
しかし、出入口としての利用には向かず、頻繁な開閉には向いていません。
扉付き収納棚の場合、ある程度の防音効果を期待できるのが特徴です。
そのため、オフィスのフリーアドレスゾーンや図書スペースの区切りに適しています。
アコーディオンカーテン
アコーディオンカーテンは、天井レールに蛇腹状の素材(布や塩ビなど)を吊り下げる方式です。
コンパクトに折りたため、収納時の省スペース性が高く、設置と開閉も簡単で仮設的な間仕切りにも適しています。
また、デザイン性の高い素材や色展開があり、空間演出にも対応しています。
しかし、防音性は極めて低いため、視線の遮断や簡易的なゾーニングに適しているのが特徴です。
医療施設の更衣スペースや一時的な会議区画などに活用されるのが多い傾向です。
可動式間仕切り壁を設置する5つのメリット
可動式間仕切りを導入すると、主に以下5つのメリットがあります。
- 柔軟に空間の用途を切り替えられる
- 工期・設置時間を抑えて導入できる
- 防音機能を備えた製品が存在する
- 空間の有効活用により施設効率が上がる
- 豊富なデザインで施設の雰囲気を保てる
上記のメリットを理解することで、可動式間仕切りの導入がより具体的に検討できます。
柔軟に空間の用途を切り替えられる
広い会議室でも間仕切り壁で空間を区切ると、参加人数が少ない会議やセミナーの際でも空間を有効活用できます。
また、オフィスではテレワークの普及やプロジェクト単位でのチーム編成など、働き方の変化に合わせて、日単位や週単位でレイアウトを変更することも可能です。
引戸タイプ、折戸タイプ、スライディングウォールなど、可動方式も多様なため、用途や頻度に合わせて最適なものを選べます。
工期・設置時間を抑えて導入できる
固定壁を設置するには、壁の下地作りから仕上げまで大掛かりな工事が必要で、時間もコストもかかります。
一方、可動式間仕切りでは、パネルやレール部分があらかじめユニット化(工場で部品として組み上げられている状態)されていることがほとんどです。
現場での組み立て作業が中心となるため、高い設置効率が期待できます。
特にDIYが難しい専門的な製品でも、専門業者に依頼すれば、現地調査から設置完了までをスムーズに進められるでしょう。
防音機能を備えた製品が存在する
スライディングウォールは遮音パネルを採用し会議室やホールに適しており、一部の製品では2重構造で簡易的な防音機能が備わっています。
他者に聞かれたくない会議や個人空間を作り出したいときなど、防音性能を求める場合は製品仕様書で遮音等級の確認が重要です。
ただし、アコーディオンカーテンや簡易カーテン式は防音効果が低いため用途に注意が必要です。
空間の有効活用により施設効率が上がる
スライディングウォールのようなタイプは、使用しない際には壁際にコンパクトに収納できます。
そのため、間仕切りを開放した状態では圧迫感が少なく、広々とした空間を確保できます。
従来デッドスペースとなっていた場所を有効活用したり、オフィスや病院などではスムーズな動線を確保できると、業務効率の向上につなげられるでしょう。
豊富なデザインで施設の雰囲気を保てる
可動式間仕切りは、機能性だけでなく、デザインのバリエーションが豊富です。
パネルの素材には、ガラスやアクリル、木目調、クロス貼りなどさまざまあり、施設の既存の内装や企業のイメージカラーに合わせて、最適な色や質感を選べます。
そのため、間仕切り壁を設置しても空間全体の統一感を損なわず、むしろデザイン性を高めることも可能です。
施設全体のデザインコンセプトを維持しつつ、目的に応じた空間演出ができるのは大きな利点です。
可動式間仕切り壁を設置する3つのデメリット
可動式間仕切りは多くのメリットがある一方で、設置する際には以下3つのデメリットもあります。
- 通常の壁に比べ遮音性が劣る場合がある
- 設置にかかるコストが高くなる傾向がある
- 空間が狭く・圧迫感を感じる場合がある
上記の点を理解した上で、導入を検討することが大切です。
通常の壁に比べ遮音性が劣る場合がある
パネル式(引き戸タイプ・折れ戸タイプ)の可動式間仕切りは構造上、密閉性が低く遮音性が限定的になります。
また、アコーディオンカーテンタイプは素材が布やビニールに近く、防音性はほぼ期待できません。
一般的な施工壁や造作壁と比べて、音の漏れやすさが顕著です。
会議室や応接室など機密性が求められる空間に設置する場合は、遮音パネル使用の製品を選定しないと機能を果たさないため、遮音性を考慮して選ぶ必要があります。
設置にかかるコストが高くなる傾向がある
可動式間仕切りは、特殊なパネル・吊りレール・可動機構が必要なため、一般的な造作壁と比較して資材費が高い傾向にあります。
特にスライディングウォールなど高機能タイプは施工が大がかりになり、天井解体などもともない工事費が増加します。
また、電気・照明・空調なども再配置が必要となるケースが多く、追加の設備工事費が発生する可能性が高いため、注意しなければなりません。
設計時点で予算を余裕をもって確保しなければ、工事途中での仕様変更や追加費用が予算を圧迫する場合があります。
空間が狭く・圧迫感を感じる場合がある
間仕切り設置によって物理的に空間が区切られるため、開放感が失われる可能性があります。
特に狭いオフィスや施設で導入した場合、視覚的・感覚的に圧迫感が生じやすい傾向にあります。
また、折れ戸タイプやパネル格納型では、格納スペースや折りたたみ部分が壁際に残り、利用可能面積が減少するため、注意が必要です。
さらに、オフィスでは家具配置の自由度が下がり、公共施設では動線や安全性に影響を及ぼす場合もあります。
スペース設計時に格納方法や開口幅などの寸法管理を行わないと、設置後に使い勝手が低下する可能性があるため注意しましょう。
可動式間仕切り壁の利用がおすすめのシーン4選
可動式間仕切りは、主に以下4つの場面での利用がおすすめです。
- 教育施設やオフィスのレイアウトを変更したい
- 病院や診療所でのプライバシー確保を行いたい
- イベントホールや大規模施設での遮音を行いたい
- 公共施設・高層ビルで消防法に配慮したい
上記のシーンで可動式間仕切りを導入することで、空間の利便性や快適性を高められます。
教育施設やオフィスのレイアウトを変更したい
スライディングウォールはセミナーや会議の開催に応じて空間を柔軟に分割・統合できます。
スタンダードタイプであれば、日常的に使用する会議室を簡単に大空間に変更可能です。
可動式間仕切りは、移設や再構築がしやすいため、将来的なレイアウト変更にも対応できるのが特徴です。
また、デザイン性の高いガラスタイプや木製タイプも選べ、教育施設との親和性が高く期待できます。
用途にあわせて空間を細かく設定できると、生産性や業務効率を向上できるでしょう。
病院や診療所でのプライバシー確保を行いたい
病院や診療所などの医療現場では、患者さんのプライバシー確保が重要です。
診察室や処置室、カウンセリングルームなどで、診察内容や患者さんの状態に合わせて、一時的に空間を区切る際に役立ちます。
伸縮式のパーテーションタイプであれば、必要な時だけ素早く設置・撤去ができ、限られたスペースを有効に活用しながら、患者さんのプライバシーを守れます。
また、病室でもベッド間の仕切りとして可動式間仕切りを導入すれば、患者さんのプライベートな空間を確保可能です。
イベントホールや大規模施設での遮音を行いたい
一つの大きなホールを複数の小ホールや会議室に分割すると同時進行で異なる内容のイベントやセミナーを開催できるようになり、施設の稼働率を高められます。
この際、隣の空間から音が漏れてこないように遮音性の高い素材の仕切り壁が求められます。
パネル同士の嵌合(かんごう)構造や、パネルの端部にゴム製のシール材を使用している製品の場合、密閉性が高いため、優れた遮音性能を発揮するのでおすすめです。
公共施設・高層ビルで消防法に配慮したい
天井まで届くパーテーションを設置する際は、消防署への届出が必要です。
消防法では「防火対象物工事等計画届出書」「防火対象物使用開始届出書」の提出が義務付けられています。
火災報知器や排煙設備の追加設置が必要になるケースもあるため、事前に確認しましょう。
なお、設置する際は、間仕切りが避難経路や通風経路を妨げないようにしなければなりません。
消防法 | e-Gov 法令検索法令に関するより詳しい情報は、e-Gov法令検索で「消防法」をご確認ください。
参考:消防法 | e-Gov法令検索
最適な可動式間仕切り壁を設置するなら「イスターカーテン」がおすすめ!
可動式間仕切りを活用すると、空間を区切れるため、空間を有効活用できます。だたし、可動式間仕切り壁は以下の7種類あるため、目的に合わせて選択しなければいけません。
- 折戸タイプ
- 引戸タイプ
- 折戸+引戸複合タイプ
- 移動収納+開き戸タイプ
- スライディングウォール
- 収納式間仕切り(キャスター付)
- アコーディオンカーテン
なお、どの可動式間仕切りを選べばよいかお悩みでしたら、ぜひ株式会社TOKOにご相談ください。豊富な経験と専門知識を持つスタッフが、設置場所に最適な種類をご提案いたします。