命の動線を守る:ICUとストレッチャーの最適設計ガイド

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ICUは緊急を要する重篤な患者が集中的に治療を受ける場所であり、その搬送経路や設備には細心の配慮が求められます。また、ストレッチャーがスムーズに移動できる環境を整えることは、医療スタッフの作業効率を向上させ、患者の命を救うための重要な鍵となります。

これらの設備が満たすべき要件は多岐に渡りますが、その中でもICUとストレッチャーの関係性に焦点を当て、特に重要な5つのポイントをそれぞれにまとめました。

ICUの最適設計は?

ICU設計のポイント
1. 出入り口の幅は最小でも90cm、理想は170cm以上
2. 患者搬送用の専用経路を設け、視覚と音の両面からプライバシーに配慮
3. 床面積は1床あたり20㎡以上を推奨。個室の場合は25㎡以上(5m×5m以上)
4. ビニールタイルやエポキシ樹脂などの滑りにくい床材を利用
5. エレベーターは最小でも 2m×2.5m、緊急時には優先利用できる仕組み

出入り口の寸法

ICUへの出入り口が狭いと、緊急時の迅速な患者搬送を妨げる恐れがあります。出入り口の幅は最低でも90cm以上の幅が推奨されます。できれば医療スタッフが両側から付き添える、十分なスペースがあると良いでしょう。一般的なストレッチャーの幅は60~70cm程度、人ひとりが付き添うためのスペースは50cmとすると、160~170cm以上の幅が理想的な出入り口の寸法となります。

プライバシーに配慮した経路設計

患者の尊厳を守るため、救急車両からICUへの搬送経路はプライバシーに配慮した動線設計が求められます。カーテンや仕切りによる視覚的な遮断はもちろん、搬送中の会話が漏れ聞こえないよう、壁やドアに遮音性を持たせて音漏れによるプライバシー侵害を防ぎましょう。また、混雑を防ぐためにも患者搬送用の専用経路を設け、他の患者や一般の訪問者と交錯しない設計にしましょう。

床面積の確保

ICUではストレッチャーを中心として十分な作業スペースが必要です。1床あたり20㎡以上を推奨としており、個室の場合は25㎡以上(縦横それぞれ 5 m以上)が望ましいとされています。ベッドの両側にそれぞれ180cm以上、頭側・足元側にそれぞれ120cm以上の壁までの距離を確保します。この空間は、医療機器の配置や医療スタッフの動きを考慮して設計する必要があります。

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床材の選択

ストレッチャーの円滑な移動を確保するため、床材の選択は重要です。絨毯やコルク製材などの使用は避け、ストレッチャーの車輪が引っかかりにくい素材を選ぶべきです。具体的には、ビニールタイルやエポキシ樹脂などの滑りにくい床材が適しています。

搬送用エレベーターの設計

ICUが上層階にある場合、ストレッチャーが余裕を持って入れる大きさのエレベーターが必要です。エレベーターの内部寸法は、少なくとも 2m × 2.5m 程度を確保し、緊急時には優先的にエレベーターを利用できる仕組みを導入することが推奨されます。

ストレッチャーの最適設計は?

ストレッチャー設計のポイント
1. 幅約60~70cm、長さ約190~210cm、耐荷重性は180~250kg程度を目安に
2. 軽量且つ片手で高さ調整可能な操作性と、足回りの機動性や安定性を確保
3. 長時間の搬送にも耐えられる快適さ
4. 清掃や消毒が簡単に行えること
5. 他の医療機器や装置と一体化できるインテグレーション設計でICUへの適応性を向上

適切な寸法とサイズ

ストレッチャーは、様々な体格の患者に対応できる設計が重要です。標準的な寸法として、幅は約60~70cm、長さは約190~210cmが多く用いられていますが、狭い廊下やエレベータにも対応できるよう、サイズ調整の機能や折りたたみ機能があると実用性が向上します。また、十分な体重を支えられる耐荷重性も重要で、通常は180~250kg程度を目安とします。

操作性と機動性

ストレッチャーは狭い廊下や急な曲がり角をスムーズに移動できる設計が重要です。高品質なキャスターやロック機能が備わっていると、搬送中の衝撃や不安定さを軽減できます。また、医療スタッフが軽い力で操作できる軽量設計や、片手で高さ調整ができる機能は、時間と労力を節約するために必須です。搬送中の安全性を保つため、ブレーキ機能の信頼性も不可欠です。

患者の快適性と安全性

長時間の搬送に耐えられる快適性が重要です。クッション材には防水性や耐久性の高い素材を用い、簡単に清掃できる仕様が求められます。また、患者が転落しないよう側面のガードレールや固定用ストラップが必要です。加えて、リクライニング機能を搭載すれば、患者の体位を適切に変えられるため、呼吸困難や負担軽減に役立ちます。

衛生管理のしやすさ

ストレッチャーは感染対策の観点から、清掃や消毒が簡単に行える設計であることが不可欠です。表面には非多孔質で耐薬品性のある素材を使用し、隙間のないデザインが推奨されます。また、部品が簡単に取り外し可能で、汚染箇所を迅速に洗浄・交換できる仕様は医療現場での必須要件です。これにより院内感染リスクが低減されます。

ICUへの適応性

ICUでは、モニターや酸素供給装置など、多くの医療機器を同時に使用するため、ストレッチャーにこれらを装着できるインテグレーション設計が重要です。機器を固定するためのフックやレール、電源供給用のポートが備わっていると、患者を移動させる際の手間を大幅に減らせます。また、ストレッチャーとICUベッド間のスムーズな移動が可能な高さ調整機能も不可欠です。

ICUの施工事例

弊社では病院・福祉施設向けの折戸を開発・販売しています。大開口の折戸は出入り口を広く確保することができ、特にICU用に設計された商品「らくなーざ框ドア付」は軽量かつ ノンレール で、ストレッチャーの搬送がスムーズに行えます。詳細は下記の施工事例ページをご覧ください。

東京医科歯科大学病院 | 施工事例 | 株式会社TOKO公式ホームページ 空間創造建材のアルミ折戸 イスターカーテン
大型店舗、病院、福祉施設、幼稚園、保育園、学校、病院、医療、福祉施設など豊富な施工事例をご紹介します。
南大阪病院 | 施工事例 | 株式会社TOKO公式ホームページ 空間創造建材のアルミ折戸 イスターカーテン
大型店舗、病院、福祉施設、幼稚園、保育園、学校、病院、医療、福祉施設など豊富な施工事例をご紹介します。

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仕様入力 | イスターカーテン | 株式会社TOKO公式ホームページ 空間創造建材のアルミ折戸 イスターカーテン
アルミ製折戸の総合メーカー 福井県鯖江市 株式会社TOKO、空間創造建材のアルミ折戸「イスターカーテン」を提案

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